① 軍事教育
私はですね,一番最初に出た学校が大里南小学校。あのころは,第二大里小学校と言っていました。そこを出て。それから久茂地小学校,それから山田小学校,それから泊小学校に来たんですね。かなり動いたみたいですね。
そして,その泊小学校と,当時言わないで,そのころから「国民学校」と言っていました。「小学校」と言わないでね,「国民学校」と。その泊国民学校に来たときから,「あら,おかしい」と。戦争が何か近づいたなという感じを受けました。
…といいますのは,体育の時間は,「イチ,ニ,イチ,ニ」と行進の練習ばっかりですね。それから,「伏せ」ということで,目と鼻をして,こう爆弾から逃れると,爆弾を落としても,こうしてバッと伏せる。あるいは防空壕に入る練習をするとか。
一番面白かったのは,算数でも音楽でもね,みんな戦争につながっているんです。例えば音楽の時間に,先生がぽーんとピアノをたたくんですよ。そうすると,そのピアノの音が,「ド・ミ・ソ」というのがあるでしょう。「ド・ミ・ソ」「ド・ファ・ラ」「シ・レ・ソ」というのがありますよね。これをぽーんとたたくわけです。そうすると聴いている生徒は,「あっ,今,ド・ミ・ソだ」「ド・ファ・ラだ」とかね,「シ・レ・ソだ」とかいうふうなことを言ったんですね。それを当てっこするんですよ。それで不思議に,私,それがうまくてね,かなり褒められたんです。「あっ,今,ド・ミ・ソ」「シ・レ・ソ」と言ってね。褒められたんですが。
それともう一つ,これ,どの時間でもそうでしたけれども,算数でも国語でも,どの時間でも,飛行機が飛ぶでしょ? 飛行機が飛ぶと,先生は授業をやめて,ストップして,「あっ,今の飛行機,何機だと思う?」ということで,一人,誰かに見に行かすんですよ。見に行かせて,残りの人は,「はーい,先生,2機だ」とか,「3機だ」とか答えているわけ。
ところが,これも私は何となくすごくよかったんですよ。「あっ,今,3機だ」とか。「いや,仲本が3機だと言っているから,たぶん……」なんて言って,しまいにはそんな話もしていました。よく当たりました。間違うこともありましたけれどもね,よく当たりました。まあ,こういったこと。授業に戦争の話が出てきたんですね。