「沖縄おぅらい」という名称
岐阜女子大学では沖縄の多くの方々のご協力・ご支援で、沖縄の伝統文化、自然などのデジタルアーカイブを進めてきました。その結果、約2万件をこえる沖縄の映像素材をデジタル化でき、多様なデジタルアーカイブの教育研究に利用しています。
この「おぅらい(往来)」は2つの意味で名付けました。 1つは、往来は昔から東南アジアにおける「ひと」、「もの」、「こと」の往来の中心地としての沖縄(琉球)です。かつて、琉球王国の大交易時代(第二尚氏王統)は、現在の東南アジアの「ひと」、「もの」、「こと」の流通(コミュニケーション)の中心地でした。また、今も東南アジアの「ひと」、「もの」、「こと」が流通の中心的存在(ハブ)として、今後の発展が期待されています。
沖縄を中心にした上のマップを見てください。
東京、名古屋、大阪は東南アジアの片隅です。歴史的にも将来的にも、沖縄の東南アジアの中心的な存在と、その発展を見出す“沖縄への修学旅行”であってほしいと思います。
もう1つは、“往来”ということばは、平安時代から明衡(めいごう)往来、さらに商売往来、百姓往来、地理往来など、教科書という意味合いで「往来物」「往来本」として、寺子屋を始め、多様な学習所で教科書として使われてきました。この2つの意味から、高校生が事前・事後学習として、心に残る沖縄修学旅行となることを期待して名付けました。
「沖縄おぅらい」とデジタルアーカイブ
岐阜女子大学では、全国的な資料を基に、文部科学省から、大学、大学院、社会人に対する特色ある教育(GP ; 優れた大学教育改革の取り組み)として、次のように選定され、大学生、大学院生、社会人のデジタルアーカイブの教育を進め、千数百名のデジタルアーキビスト関連の資格者を育成してきました。
これらの有資格者の方々は、現在、大学、企業、図書館(司書)、博物館(学芸員)、小中高等学校などで、専門家として活躍されています。
一方、世界的なデジタルアーカイブの課題として、デジタルアーカイブの作成、次世代への伝承、利用ができる人材育成などがあげられ、デジタル・アーキビスト資格の認定が必要とされ、元文化庁長官佐々木正峰氏、元国立教育研究所所長菱村幸彦氏、新潟大学副学長生田孝至氏などの方々のご支援で、特定非営利活動法人日本デジタル・アーキビスト資格認定機構が設置され、一定の水準をもつ人材育成が2006年から始まりだしました。
情報処理だけでなく、デジタル(電子)書籍、デジタルテキスト(教科書)など、21世紀の新しい文化の時代に対応できる人材の育成が始まりだしました。これらの教育研究の発展のプロセスの中で、岐阜女子大学沖縄サテライト校(大学・大学院)を中心に多くの沖縄の人々に協力を得て、琉球の歴史・文化、沖縄の現状等のデジタル・アーカイブ(各種素材)の構成を進めています。
これらの沖縄の資料について、岐阜女子大学が開講している高等学校教員のための大学院(専修)免許法認定公開講座を受講されている先生方から、沖縄修学旅行の資料として提供の要請がありました。
そこで、少しでもお役に立てるよう、高校生の修学旅行の参考資料として「沖縄おぅらい」の提供を始めることにいたしました。